ギリシア神話
唐突なんですが、僕はギリシア神話を読むのが大好きです。ギリシア神話の全部の話を読んだわけではないですが、いくつか気に入っているお話があります。たとえば、冥界の王ハーデスと冥界の王妃ペルセルポネとの結婚話、正直者のバウキスとピエモンが大神ゼウスをもてなすお話、トロイア戦争、ユリシーズ(オデュッセイア)の帰郷物語、etc・・・。他にもたくさんありますね。
僕が一番気に入っているのは、実はハーデスとペルセルポネの結婚話です。このお話はどういう内容かというと、妻が欲しくなったハーデスがふと地下の世界から地上を覗いたときに視界に入ってきた美しい乙女、すなわちコレー(後のペルセルポネ)に一目惚れします。コレーと結婚したいためにハーデスは忙しい合間を縫って(死者が絶えぬ日は一度たりともないらしく、よってハーデスは冥界を留守にするわけにはいかないのです。)、コレーの父、すなわち神々の主神であり、自分の弟でもあるゼウスに相談に行きます。ゼウスは非常に乗り気になってハーデスとコレーとの縁談を了承します。しかし、ここでゼウスは自分の姉であり、同時にコレーの母親である豊穣の女神デメテルに何の相談もせずに独断で結婚を決めてしまったという、非常に大きな過ちを犯したのです。
さて、何も知らないコレーはニンフ達と一緒に野花を摘みまわったりして楽しんでいました。その時、自分が今まで見たこともないほど珍しい花を見つけたのでそれを手に取ろうとしました。ところが、これはハーデスがコレーを誘い出すために用意したもので、コレーがその花に触れた途端、大きな地割れが起こり、そこから黒塗りの馬車と共にハーデスが現れてコレーをさらってしまったのです。当然、コレーを掌中の珠のように大切にしていた母デメテルはコレーがいないことに気づき、コレーを必死に探します。しかし、コレーはハーデスが冥界に連れて行ってしまったため、どれだけ地上を探しても見つかるはずがありません。その内、コレー失踪の原因が彼女の父親であるゼウスであると知り、非常に激怒して自分の職務を放棄したのです。デメテルが自分の職務を放棄すること、それすなわち、作物が育たないことを意味しているので、世界は大飢饉に襲われ、動物も人もたくさんの死者を出したのです。
一方、ハーデスによって冥界へと連れてこられたコレーは地上や母親のことを恋しく思い、悲しみの底に沈んでいましたが、ハーデスの優しさや誠実さ(冥界の支配権を握っているだけに冷酷なイメージを描きますが、実際には誠実な神であると考えられています)に触れていくうち、徐々に彼に惹かれていきます。そして地上からゼウスの死者としてヘルメスがコレーを迎えに来たとき、ハーデスは冥界の柘榴の実を4粒、コレーに与えたのでした。冥界の物を食べてしまったものは冥界の住人にならないといけないらしく、それは全知全能の大神ゼウスでも覆すことができないほど重たい決まりごとなのだそうです。それは、コレーと離れたくないハーデスが考え出した苦肉の策でした。(ハーデスの考えでは、拒むこともできた柘榴の実を4粒だけでも食べてくれたということは、柘榴4粒分だけはハーデスの思いに応える気持ちの表れ、だそうです)結果、コレーは1年のうち4ヶ月を冥界で過ごし、残りの8ヶ月を地上で過ごすことになったそうです。そして、コレーが冥界にいる4ヶ月の間は、デメテルがコレーの不在を嘆き悲しんで仕事に手が付かなくなってしまい、地上の作物は育たない期間となったそうです。こうして、「冬」が誕生したと言われています。
このお話の大部分は里中満智子さんが書かれた「ギリシア神話」の中に載っています。高校時代にこの人が書いたギリシア神話を読んだのですが、非常に読みやすく(ちなみに漫画です)、とても印象に残りました。今では犯罪にもなる幼女誘拐(ハーデスの実年齢を考えると是非もないでしょう)をしてしまったハーデスですが、その反面コレーを本当に大事に考えていた、と考えさせる描写が一番気に入った理由です。同じ作品に出てくるゼウスやポセイドンはハーデスの弟なのですが、彼ら2人は女癖が悪いように見受けられます(特にゼウスは自他共に認める女たらしだったらしく、美人がいると聞けば神でも人でも構わず会いに行ってたそうです)。英雄色を好むと言いますが、それにも限度があると思います。まあ、こんなことを今ここで言ってもどうしようもないのですけど・・・。
明日は「バウキスとピエモン」の話をしようと思います。
僕が一番気に入っているのは、実はハーデスとペルセルポネの結婚話です。このお話はどういう内容かというと、妻が欲しくなったハーデスがふと地下の世界から地上を覗いたときに視界に入ってきた美しい乙女、すなわちコレー(後のペルセルポネ)に一目惚れします。コレーと結婚したいためにハーデスは忙しい合間を縫って(死者が絶えぬ日は一度たりともないらしく、よってハーデスは冥界を留守にするわけにはいかないのです。)、コレーの父、すなわち神々の主神であり、自分の弟でもあるゼウスに相談に行きます。ゼウスは非常に乗り気になってハーデスとコレーとの縁談を了承します。しかし、ここでゼウスは自分の姉であり、同時にコレーの母親である豊穣の女神デメテルに何の相談もせずに独断で結婚を決めてしまったという、非常に大きな過ちを犯したのです。
さて、何も知らないコレーはニンフ達と一緒に野花を摘みまわったりして楽しんでいました。その時、自分が今まで見たこともないほど珍しい花を見つけたのでそれを手に取ろうとしました。ところが、これはハーデスがコレーを誘い出すために用意したもので、コレーがその花に触れた途端、大きな地割れが起こり、そこから黒塗りの馬車と共にハーデスが現れてコレーをさらってしまったのです。当然、コレーを掌中の珠のように大切にしていた母デメテルはコレーがいないことに気づき、コレーを必死に探します。しかし、コレーはハーデスが冥界に連れて行ってしまったため、どれだけ地上を探しても見つかるはずがありません。その内、コレー失踪の原因が彼女の父親であるゼウスであると知り、非常に激怒して自分の職務を放棄したのです。デメテルが自分の職務を放棄すること、それすなわち、作物が育たないことを意味しているので、世界は大飢饉に襲われ、動物も人もたくさんの死者を出したのです。
一方、ハーデスによって冥界へと連れてこられたコレーは地上や母親のことを恋しく思い、悲しみの底に沈んでいましたが、ハーデスの優しさや誠実さ(冥界の支配権を握っているだけに冷酷なイメージを描きますが、実際には誠実な神であると考えられています)に触れていくうち、徐々に彼に惹かれていきます。そして地上からゼウスの死者としてヘルメスがコレーを迎えに来たとき、ハーデスは冥界の柘榴の実を4粒、コレーに与えたのでした。冥界の物を食べてしまったものは冥界の住人にならないといけないらしく、それは全知全能の大神ゼウスでも覆すことができないほど重たい決まりごとなのだそうです。それは、コレーと離れたくないハーデスが考え出した苦肉の策でした。(ハーデスの考えでは、拒むこともできた柘榴の実を4粒だけでも食べてくれたということは、柘榴4粒分だけはハーデスの思いに応える気持ちの表れ、だそうです)結果、コレーは1年のうち4ヶ月を冥界で過ごし、残りの8ヶ月を地上で過ごすことになったそうです。そして、コレーが冥界にいる4ヶ月の間は、デメテルがコレーの不在を嘆き悲しんで仕事に手が付かなくなってしまい、地上の作物は育たない期間となったそうです。こうして、「冬」が誕生したと言われています。
このお話の大部分は里中満智子さんが書かれた「ギリシア神話」の中に載っています。高校時代にこの人が書いたギリシア神話を読んだのですが、非常に読みやすく(ちなみに漫画です)、とても印象に残りました。今では犯罪にもなる幼女誘拐(ハーデスの実年齢を考えると是非もないでしょう)をしてしまったハーデスですが、その反面コレーを本当に大事に考えていた、と考えさせる描写が一番気に入った理由です。同じ作品に出てくるゼウスやポセイドンはハーデスの弟なのですが、彼ら2人は女癖が悪いように見受けられます(特にゼウスは自他共に認める女たらしだったらしく、美人がいると聞けば神でも人でも構わず会いに行ってたそうです)。英雄色を好むと言いますが、それにも限度があると思います。まあ、こんなことを今ここで言ってもどうしようもないのですけど・・・。
明日は「バウキスとピエモン」の話をしようと思います。
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